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ホルモンバランスと手のひらの赤み更年期の影響
手のひらの赤みとホルモンバランス、特に更年期における女性ホルモンの変動は、密接に関連していると考えられています。女性の体は、生涯を通じてホルモンの影響を大きく受けますが、更年期はその中でも特にダイナミックな変化が起こる時期です。更年期には、卵巣機能が低下し、主要な女性ホルモンであるエストロゲンの分泌量が急激に減少します。このエストロゲンは、月経や妊娠といった生殖機能だけでなく、血管の弾力性や血流の調節、皮膚の健康維持、自律神経の安定など、全身の様々な働きに関与しています。エストロゲンが減少すると、これらの機能にも影響が及び、手のひらの赤みといった症状が現れることがあります。まず、エストロゲンの減少は、自律神経のバランスを乱しやすくします。自律神経は血管の収縮や拡張をコントロールしているため、そのバランスが崩れると、手足の末梢血管が異常に拡張しやすくなり、血流が増加して手のひらが赤く見えたり、ほてりを感じたりすることがあります。これは、更年期症状の代表であるホットフラッシュと同様のメカニズムです。また、エストロゲンは、皮膚のコラーゲンやヒアルロン酸の生成を促進し、皮膚の潤いや弾力性を保つ働きがあります。エストロゲンが減少すると、皮膚が乾燥しやすくなり、薄くなる(菲薄化)傾向があります。皮膚が薄くなると、その下にある毛細血管が透けて見えやすくなり、結果として手のひらが赤く見えるということも考えられます。さらに、エストロゲンには血管を拡張させる作用もあるため、その急激な減少が、一時的に血管の反応性を不安定にさせ、赤みとして現れる可能性も指摘されています。このように、更年期における手のひらの赤みは、単一の原因ではなく、エストロゲンの減少に伴う自律神経の乱れ、皮膚の変化、血管の反応性の変化などが複合的に関与していると考えられます。もし、このような症状に悩んでいる場合は、婦人科医に相談し、ホルモンバランスの状態を評価してもらうことが大切です。