手足口病といえば、主に乳幼児がかかる夏の代表的な感染症というイメージが強いですが、実は大人も感染することがあります。大人が手足口病にかかると、子どもよりも症状が重くなる傾向があるとも言われており、注意が必要です。では、なぜ大人が手足口病に感染してしまうのでしょうか。その原因と感染経路を理解しておくことが、予防と対策の第一歩となります。手足口病の原因となるのは、主にエンテロウイルス属のウイルスです。代表的なものにコクサッキーウイルスA6、A16、エンテロウイルス71(EV71)などがあり、複数の種類のウイルスが原因となるため、一度かかったとしても、異なる型のウイルスに再度感染する可能性があります。これが、大人でも手足口病にかかる理由の一つです。過去に特定の型のウイルスに感染して免疫を持っていても、別の型のウイルスには免疫がないため、感染してしまうのです。主な感染経路は、「飛沫感染」「接触感染」「糞口感染」の3つです。飛沫感染は、感染者の咳やくしゃみ、会話などで飛び散ったウイルスを含む飛沫を吸い込むことで感染します。接触感染は、感染者の水疱やそこから出た滲出液、唾液などに直接触れたり、ウイルスが付着したドアノブやおもちゃなどを介して間接的に触れたりすることで、手や指を介して口や鼻、目の粘膜からウイルスが侵入し感染します。糞口感染は、感染者の便の中に排出されたウイルスが、何らかの形で口に入ることによって感染する経路です。特に、おむつ交換の後などに手洗いが不十分だと、感染のリスクが高まります。大人が手足口病に感染するケースとしては、家庭内感染が最も多いと言われています。子どもが保育園や幼稚園などで手足口病に感染し、その看病をする中で親が感染してしまうのです。また、職場で子どもと接する機会が多い方(保育士、幼稚園教諭など)も感染のリスクがあります。