なんだか胃がスッキリしない、食欲がない、胃もたれが続く…そんな胃の不調、実は自律神経の乱れが原因かもしれません。自律神経は、私たちの意思とは関係なく、内臓の働きや血流、体温などをコントロールしている重要な神経です。この自律神経には、活動時に優位になる「交感神経」と、リラックス時に優位になる「副交感神経」の2種類があり、これらがバランスを取りながら体の機能を調整しています。胃の働きも、この自律神経によってコントロールされています。通常、食事をすると副交感神経が優位になり、胃酸の分泌を促したり、胃の蠕動(ぜんどう)運動を活発にしたりして、消化を助けます。しかし、ストレスや不規則な生活、睡眠不足などによって自律神経のバランスが乱れると、この胃のコントロールがうまくいかなくなります。例えば、交感神経が過度に優位になると、胃の血管が収縮して血流が悪くなり、胃の粘膜を保護する粘液の分泌が減少したり、胃の動きが鈍くなったりします。その結果、胃酸の刺激を受けやすくなって胃痛が起きたり、消化不良による胃もたれや食欲不振が生じたりするのです。逆に、副交感神経が過度に刺激されると、胃酸が過剰に分泌され、胃炎や胃潰瘍のリスクを高めることもあります。このように、自律神経のバランスの乱れは、胃酸のコントロールや胃の運動機能に直接影響を与え、様々な胃の不調を引き起こす原因となるのです。もし、原因不明の胃の不調が長く続くようであれば、自律神経の乱れも視野に入れ、生活習慣の見直しやストレスケアに取り組むことが大切かもしれません。