子供のほっぺが赤く、熱がない場合、まず疑われる病気の一つに「りんご病(伝染性紅斑)」があります。りんご病は、ヒトパルボウイルスB19というウイルスに感染することで起こる病気で、特に幼児期から学童期の子どもによく見られます。その名の通り、両方のほっぺがリンゴのように赤くなるのが特徴的な症状です。りんご病の症状の現れ方にはいくつかのポイントがあります。まず、初期症状として、微熱や倦怠感、筋肉痛といった軽い風邪のような症状が出ることがありますが、これらの症状は軽微であるか、全く現れないことも少なくありません。そして、これらの初期症状が治まった頃、あるいは最初から、両頬に境界のはっきりした赤い発疹が現れます。この発疹は、まるで平手打ちされた後のように見えることもあり、「平手打ち様紅斑」とも呼ばれます。ほっぺの赤みは数日間続きます。その後、腕や太もも、お尻などに、レース編みのような、あるいは網目状の赤い発疹が広がっていくことがあります。これらの発疹には、かゆみを伴うこともあれば、伴わないこともあります。発疹は、通常1週間から10日程度で自然に消えていきますが、日光に当たったり、入浴したり、興奮したりすると、一時的に赤みが強くなることがあります。りんご病は、一般的に予後が良い病気であり、特別な治療法はなく、対症療法が中心となります。しかし、妊婦さんが感染すると胎児に影響が出る可能性があるため、周囲に妊婦さんがいる場合は注意が必要です。ほっぺの赤み以外に、関節痛を伴うこともあります。もし、子供のほっぺが赤く、熱がなく、上記のような特徴的な発疹が見られる場合は、りんご病の可能性を考え、小児科を受診して診断を受けることをお勧めします。