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ストレスや不安からくる手のしびれと診療科
明らかなケガや整形外科的な異常、内科的な疾患が見当たらないにもかかわらず、手のしびれが続く場合、その原因の一つとして精神的なストレスや不安が関与している可能性が考えられます。このような心因性の手のしびれは、特に現代社会において少なくないと言われています。ストレスや不安がどのように手のしびれを引き起こすのでしょうか。強いストレスや慢性的な不安状態は、自律神経のバランスを乱しやすくなります。自律神経は、呼吸、体温、血圧、血流などをコントロールしていますが、そのバランスが崩れると、血管が収縮して手足の血行が悪くなったり、筋肉が過度に緊張したりして、しびれや冷え、こわばりといった症状が現れることがあります。また、過換気症候群も、強い不安やパニックが引き金となって起こることがあり、呼吸が速く浅くなることで血液中の二酸化炭素濃度が低下し、手足のしびれやめまい、動悸、息苦しさといった症状を引き起こします。さらに、精神的なストレスは、痛みの感じ方にも影響を与えます。脳内で痛みを抑制する神経伝達物質の働きが低下し、通常では気にならない程度の刺激でもしびれや痛みとして感じやすくなったり、症状が長引いたりすることがあります。心因性の手のしびれの特徴としては、しびれの範囲や強さが日によって変動したり、特定のストレス状況下で悪化したりすることが挙げられます。また、しびれ以外にも、頭痛、めまい、不眠、動悸、気分の落ち込み、不安感といった他の心身の不調を伴うことも少なくありません。このような心因性の手のしびれが疑われる場合、相談先として心療内科や精神科が適切です。これらの科では、まず詳しい問診を通じて、患者さんのストレス状況や心理状態、生活環境などを把握します。そして、必要に応じて心理検査などを行い、心因性の要因がどの程度関与しているかを評価します。治療としては、抗不安薬や抗うつ薬といった薬物療法と並行して、カウンセリングや認知行動療法などの精神療法が行われることがあります。また、自律神経のバランスを整えるためのリラクセーション法や、生活習慣の改善指導なども行われます。