病院の良し悪し

2025年10月
  • 糖尿病と閉塞性動脈硬化症深い関係と注意点

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    糖尿病は、閉塞性動脈硬化症の非常に重要な危険因子の一つであり、両者は密接に関連しています。糖尿病患者さんは、そうでない人に比べて閉塞性動脈硬化症を発症するリスクが数倍高く、また、より若年で発症し、より重症化しやすい傾向があるため、特に注意が必要です。なぜ糖尿病が閉塞性動脈硬化症を引き起こしやすいのでしょうか。まず、高血糖状態が長く続くと、血管の内側の壁(血管内皮細胞)がダメージを受けやすくなります。血管内皮細胞が傷つくと、そこにコレステロールなどが付着しやすくなり、プラーク(粥腫)が形成され、血管が硬く狭くなっていく動脈硬化が進行します。また、糖尿病では、血液が固まりやすくなる傾向(血栓傾向)や、炎症反応が起こりやすい状態になることも、動脈硬化を促進する要因となります。さらに、糖尿病の合併症である糖尿病性神経障害も、閉塞性動脈硬化症の発見を遅らせたり、悪化させたりする原因となります。神経障害によって足の感覚が鈍くなると、小さな傷や靴ずれに気づきにくく、そこから感染を起こして潰瘍や壊疽に進行しやすくなります。また、痛みを感じにくくなるため、間歇性跛行などの初期症状が現れても自覚しにくく、病気が進行してから発見されるケースも少なくありません。糖尿病患者さんが閉塞性動脈硬化症を予防・管理する上で最も重要なのは、血糖コントロールを良好に保つことです。食事療法、運動療法、薬物療法(インスリン注射や経口血糖降下薬など)を適切に行い、HbA1c(過去1~2ヶ月の平均血糖値を反映する指標)を目標値にコントロールすることが基本となります。また、血圧管理や脂質管理も同様に重要です。禁煙は必須であり、定期的なフットケア(足の観察、清潔保持、爪の切り方など)も、潰瘍や壊疽の予防に繋がります。そして、年に一度はABI検査などの足の血管の検査を受け、閉塞性動脈硬化症の早期発見に努めることが推奨されます。少しでも足の冷えやしびれ、歩行時の痛みといった症状があれば、主治医に相談し、循環器内科や血管外科などの専門医の診察を受けるようにしましょう。