ぎっくり腰になってしまった時、多くの人が悩むのが「安静にしていた方が良いのか、それとも少しは動かした方が早く治るのか」という点でしょう。かつては「ぎっくり腰になったら絶対安静」と言われることが多かったですが、近年の研究では、必ずしも長期間の絶対安静が良いとは限らないという考え方も出てきています。【発症直後の急性期(1~3日程度)】 ぎっくり腰を発症した直後は、炎症が最も強く、激しい痛みを伴います。この時期は、無理に動かず、できるだけ安静にすることが基本です。痛みを我慢して動くと、炎症が悪化し、回復が遅れる可能性があります。前述したような、自分が最も楽だと感じる姿勢で過ごしましょう。痛みが強い場合は、消炎鎮痛剤(内服薬、湿布、塗り薬など)を使用したり、患部を冷やしたり(アイシング)するのも効果的です。ただし、冷やしすぎると筋肉が硬くなることもあるため、15~20分程度を目安にしましょう。【痛みが少し和らいできたら(亜急性期~回復期)】 激しい痛みが少し落ち着いてきたら、徐々に日常生活の範囲内で動かし始めることが推奨されています。長期間の安静は、かえって筋肉を硬くし、血行を悪化させ、回復を遅らせる可能性があると考えられています。無理のない範囲で、ゆっくりと体を動かし始めましょう。例えば、短い距離を歩いたり、簡単な家事をしたりすることから始めます。ただし、痛みが増すような動きや、重い物を持つ、前かがみになるといった腰に負担のかかる動作は避けるようにしましょう。この時期には、医師や理学療法士の指導のもと、適切なストレッチや軽い運動を取り入れるのも効果的です。腰周りの筋肉の柔軟性を高め、血行を促進し、再発予防にもつながります。重要なのは、自己判断で無理をしないことです。痛みの程度や回復のスピードには個人差があります。医師の指示に従い、自分の体の状態と相談しながら、徐々に活動レベルを上げていくことが大切です。もし、動かし始めて痛みが強くなるようであれば、無理をせずに再度安静にし、医師に相談するようにしましょう。