喉の近くに口内炎のようなものができた時、多くの場合はアフタ性口内炎などの一般的な口内炎ですが、中には口内炎と症状が似ていて間違えやすい、別の病気である可能性も考えられます。自己判断せずに、症状が長引いたり、いつもと違うと感じたりした場合は、医療機関を受診することが大切です。まず、ヘルパンギーナや手足口病といったウイルス感染症です。これらは、特に夏場に乳幼児を中心に流行し、喉の奥や口の中に小さな水疱や潰瘍が多数できるのが特徴です。高熱を伴うことも多く、飲み込む時の痛みが強いため、食事や水分摂取が困難になることもあります。次に、**扁桃炎(へんとうえん)**です。喉の奥の両側にある扁桃が細菌やウイルスに感染して炎症を起こす病気で、強い喉の痛み、発熱、倦怠感などの症状が現れます。扁桃に白い膿が付着することもあります。口内炎と間違えやすいのは、扁桃の表面が赤く腫れたり、潰瘍のようになったりする場合です。また、咽頭炎(いんとうえん)も、喉の粘膜全体が炎症を起こす病気で、喉の痛みや違和感、咳、痰などの症状が出ます。炎症が強いと、粘膜が赤く腫れたり、口内炎のように見えたりすることがあります。稀なケースではありますが、口腔がんや咽頭がんといった悪性腫瘍の初期症状が、治りにくい口内炎として現れることもあります。特に、しこりがある、出血しやすい、形がいびつである、2週間以上たっても全く治る気配がないといった場合は、注意が必要です。その他にも、ベーチェット病などの自己免疫疾患では、再発性の口内炎が特徴的な症状の一つとして現れます。これらの病気は、それぞれ治療法が異なります。喉の近くの口内炎がなかなか治らない、あるいは他の症状も伴う場合は、自己判断せずに耳鼻咽喉科などを受診し、正確な診断を受けるようにしましょう。