手のしびれの原因は多岐にわたり、その原因によって受診すべき診療科が異なります。代表的な原因別に、どの科が適しているのかを見ていきましょう。まず、最も多い原因の一つが、末梢神経の圧迫や損傷です。例えば、手首の正中神経が圧迫される「手根管症候群」は、親指から薬指の親指側にかけてのしびれや痛みが特徴で、特に夜間や明け方に症状が強くなることがあります。肘の内側で尺骨神経が圧迫される「肘部管症候群」は、小指と薬指の小指側にしびれが現れます。また、首の骨(頸椎)の変形や椎間板ヘルニアによって神経根が圧迫される「頸椎症性神経根症」や「頸椎椎間板ヘルニア」も、首から肩、腕、手にかけてのしびれや痛みを引き起こします。これらの場合は、整形外科が専門となります。レントゲン検査やMRI検査、神経伝導速度検査などで診断し、薬物療法、リハビリテーション、装具療法、場合によっては手術などの治療が行われます。次に、全身性の疾患が原因で手のしびれが起こることもあります。「糖尿病性神経障害」は、糖尿病の合併症の一つで、手足の末端から左右対称にしびれや感覚鈍麻、痛みなどが現れます。この場合は、まず糖尿病の治療を行っている内科(糖尿病内科)での血糖コントロールが重要となり、神経内科とも連携して治療を進めます。ビタミンB12欠乏症や甲状腺機能低下症といった内分泌・代謝疾患も、末梢神経障害を引き起こし、手のしびれの原因となることがあります。これらは内科で診断・治療が行われます。また、「多発性硬化症」や「ギラン・バレー症候群」といった神経系の自己免疫疾患や炎症性疾患も、手のしびれを含む様々な神経症状を引き起こします。これらの場合は、神経内科が専門となります。さらに、稀ではありますが、脳梗塞や脳出血、脳腫瘍といった脳の病気が原因で、片側の手足にしびれや麻痺が生じることもあります。この場合は、緊急性の高い状態であり、直ちに脳神経外科や神経内科を受診する必要があります。
整形外科?神経内科?手のしびれの原因別診療科