おへそから膿が出ているのに、「そのうち治るだろう」と放置してしまうと、症状が悪化したり、思わぬトラブルに繋がったりする可能性があります。どのようなリスクがあるのかを理解しておきましょう。まず、最も一般的な原因である臍炎や臍周囲炎の場合、放置すると炎症が周囲の組織に広がり、おへそだけでなく、お腹全体の皮膚が赤く腫れ上がったり、痛みが強くなったりすることがあります。これを「蜂窩織炎(ほうかしきえん)」と呼び、進行すると発熱や悪寒、倦怠感といった全身症状が現れることもあります。また、炎症が慢性化すると、おへその中や周囲にしこり(肉芽腫など)ができたり、なかなか治らないじくじくとした状態が続いたりすることもあります。さらに、おへその奥深く、腹膜にまで炎症が及ぶと、腹膜炎という重篤な状態を引き起こす可能性もゼロではありません。これは非常に稀なケースですが、激しい腹痛や嘔吐、高熱などを伴い、緊急の治療が必要となります。尿膜管遺残が原因で膿が出ている場合、放置すると感染が繰り返し起こり、そのたびに痛みや発熱に悩まされることになります。また、長期的には、稀ですが尿膜管がんという悪性腫瘍が発生するリスクも指摘されています。おへそにできた粉瘤が炎症を起こして膿が出ている場合も、放置すると炎症が周囲に広がり、強い痛みや腫れを引き起こします。一度炎症を起こした粉瘤は、自然に治癒することは難しく、再発を繰り返すこともあります。このように、へそから膿が出るという症状は、単なる不快な症状というだけでなく、様々なリスクを伴う可能性があります。特に、糖尿病などの基礎疾患がある方や、免疫力が低下している方は、感染症が悪化しやすいため、より注意が必要です。症状に気づいたら、早めに皮膚科や形成外科などを受診し、適切な診断と治療を受けるようにしましょう。自己判断での処置は避け、専門医の指示に従うことが大切です。
へそから膿放置するとどうなる?