手のひらが赤いという症状は、更年期の一つのサインである可能性もありますが、それ以外の様々な病気が原因で起こることもあります。自己判断せずに、他の症状や自身の健康状態と照らし合わせ、必要であれば医療機関を受診することが大切です。更年期以外の原因として、まず考えられるのが肝機能障害です。肝硬変や慢性肝炎などの慢性的な肝臓病では、「手掌紅斑(しゅしょうこうはん)」といって、手のひらの母指球(親指の付け根のふくらみ)と小指球(小指の付け根のふくらみ)、そして指の腹側がまだらに赤くなることがあります。これは、肝臓でのエストロゲン代謝が低下し、血中のエストロゲン濃度が上昇することで血管が拡張するためと考えられています。黄疸や全身倦怠感、食欲不振といった他の症状を伴う場合は注意が必要です。次に、甲状腺機能亢進症(バセドウ病など)でも、代謝が活発になり、血流が増加することで、手のひらが赤くなったり、汗をかきやすくなったりすることがあります。動悸や体重減少、手の震え、眼球突出といった症状も特徴的です。また、皮膚炎やアレルギー反応によっても、手のひらに赤みやかゆみ、湿疹などが現れることがあります。接触皮膚炎(かぶれ)やアトピー性皮膚炎、手湿疹などが考えられます。膠原病(こうげんびょう)と呼ばれる自己免疫疾患の一部、例えば全身性エリテマトーデス(SLE)や皮膚筋炎などでも、手のひらに特徴的な紅斑が現れることがあります。これらの場合は、関節痛や発熱、筋肉痛、レイノー現象(指先が白くなったり紫色になったりする)といった他の全身症状を伴うことが多いです。その他、多血症(血液中の赤血球が増加する病気)や、薬剤の副作用、あるいは単に皮膚が薄い体質で毛細血管が透けて見えやすいといったことも、手のひらが赤く見える原因となり得ます。このように、手のひらの赤みは様々な原因で起こり得るため、赤みが長期間続く場合や、他の気になる症状がある場合は、内科や皮膚科、あるいはそれぞれの専門科を受診し、原因を特定してもらうことが重要です。