閉塞性動脈硬化症は、足の血管の動脈硬化が進行し、血流が悪くなることで様々な症状が現れます。その症状は、病気の進行度によって異なり、Fontaine(フォンテイン)分類という四段階の重症度分類がよく用いられます。この分類を理解することで、自分の症状がどの程度の状態なのかを把握する目安になります。まず、Ⅰ度(無症状期または軽微な症状期)です。この段階では、まだ自覚症状がほとんどないか、あっても足の冷感やしびれ感といった軽い症状のみです。ABI検査などで偶然発見されることもあります。次に、Ⅱ度(間歇性跛行期:かんけつせいはこうき)です。これは、閉塞性動脈硬化症の最も特徴的な症状で、一定の距離を歩くと、ふくらはぎや太もも、お尻などに痛みやだるさ、重さ、こむら返りのような症状が現れ、少し休むと症状が和らぎ、また歩けるようになるという状態を繰り返します。この段階になると、日常生活にも支障が出始めます。Ⅲ度(安静時疼痛期:あんせいじとうつうき)になると、病気がさらに進行し、安静にしていても足に持続的な痛みが生じるようになります。特に、夜間や寝ている時に痛みが強くなることが多く、足を下げると少し楽になるという特徴があります。この段階では、鎮痛薬が必要になることもあります。そして、最も重症なのがⅣ度(潰瘍・壊疽期:かいよう・えそき)です。血流が極端に悪くなることで、足の指先などに栄養や酸素が十分に行き渡らなくなり、小さな傷が治りにくくなったり、皮膚に潰瘍(組織が欠損した状態)ができたり、最悪の場合は組織が死んでしまう壊疽(えそ)に進行します。壊疽に至ると、感染症を併発しやすく、場合によっては足の切断が必要になることもあります。このように、閉塞性動脈硬化症は進行性の病気であり、放置すると重篤な状態に至る可能性があります。早期に発見し、適切な治療を開始することが、症状の進行を抑え、QOL(生活の質)を維持するために非常に重要です。
閉塞性動脈硬化症の主な症状と進行度