-
睡眠時無呼吸症候群診断までの流れと検査
睡眠時無呼吸症候群(SAS)が疑われる場合、医療機関ではどのような流れで診断が行われ、どのような検査が必要になるのでしょうか。そのプロセスを理解しておくと、安心して受診できるでしょう。まず、医療機関(主に呼吸器内科や睡眠外来など)を受診すると、医師による詳しい問診が行われます。いつから、どのような症状(いびき、日中の眠気、睡眠中の無呼吸の指摘、起床時の頭痛、倦怠感など)があるのか、睡眠時間や睡眠の質、生活習慣(飲酒、喫煙、肥満度など)、既往歴、家族歴などを詳しく聞かれます。パートナーや家族からの情報(いびきの音量や頻度、無呼吸の様子など)も、診断の重要な手がかりとなります。次に、身体診察が行われます。体重や身長、血圧、首周りの太さ、顎の形、鼻や喉の状態(扁桃腺の大きさなど)などを確認します。これらの問診と診察から、SASの可能性が高いと判断された場合、睡眠検査が行われます。睡眠検査には、主に二つの種類があります。一つは、自宅で行う「簡易検査」です。指先にセンサーをつけたり、鼻に呼吸センサーをつけたりする小型の装置を医療機関から借りて帰り、普段通りに寝ている間の呼吸の状態や酸素飽和度などを記録します。手軽に行える検査ですが、無呼吸の程度や種類を大まかに把握するためのスクリーニング検査として用いられます。もう一つは、医療機関に一泊して行う「精密検査(ポリソムノグラフィー検査:PSG)」です。脳波、眼球運動、筋電図、心電図、呼吸、酸素飽和度、いびきの音など、睡眠中の様々な生体情報を詳細に記録し、無呼吸や低呼吸の回数、睡眠の質、無呼吸のタイプ(閉塞性か中枢性かなど)を正確に診断します。このPSG検査が、SASの確定診断には最も重要な検査となります。これらの検査結果と、問診や診察所見を総合的に判断し、医師はSASの診断を下し、重症度を評価して、適切な治療方針を決定します。