病院の良し悪し

2025年11月
  • 顔面神経麻痺の主な原因と種類

    未分類

    顔面神経麻痺は、顔の表情筋を動かす顔面神経が何らかの原因で障害されることで起こりますが、その原因は一つではありません。原因によって治療法や予後も異なるため、どのような種類があるのかを理解しておくことが大切です。最も頻度が高いのは、「ベル麻痺」と呼ばれるものです。これは、明らかな原因が特定できない特発性(とくはつせい)の顔面神経麻痺で、全体の約60~70%を占めると言われています。単純ヘルペスウイルス1型の再活性化が関与しているという説が有力ですが、まだ完全には解明されていません。ストレスや疲労、寒冷刺激などが誘因となることがあります。次に多いのが、「ハント症候群(ラムゼイ・ハント症候群)」です。これは、水痘(みずぼうそう)の原因となる水痘・帯状疱疹ウイルスが、顔面神経の中で再活性化することで起こります。顔面神経麻痺に加えて、耳介や外耳道に痛みを伴う水疱(帯状疱疹)、めまい、難聴、耳鳴りといった内耳の症状が現れるのが特徴です。ベル麻痺に比べて、麻痺の程度が重く、治癒しにくい傾向があると言われています。また、外傷(例えば、交通事故や顔面のケガ、手術など)によって顔面神経が直接損傷されたり、圧迫されたりすることで麻痺が起こることもあります。中耳炎や真珠腫性中耳炎といった耳の病気が進行し、顔面神経に炎症が及んで麻痺を引き起こすこともあります。さらに、脳梗塞や脳出血、脳腫瘍といった脳の病気(中枢性顔面神経麻痺)が原因で、顔面神経麻痺が生じることもあります。この場合、顔面神経麻痺以外にも、手足の麻痺やしびれ、ろれつが回らない、意識障害といった他の神経症状を伴うことが多いのが特徴です。その他、ライム病やサルコイドーシス、ギラン・バレー症候群といった全身性の疾患の一部として顔面神経麻痺が現れることもあります。このように、顔面神経麻痺の原因は多岐にわたるため、専門医による正確な診断が不可欠です。