病院の良し悪し

2025年11月
  • 顔面神経麻痺と間違えやすい他の病気

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    顔の片側の動きが悪くなる顔面神経麻痺ですが、似たような症状を引き起こす他の病気も存在するため、正確な診断が重要です。自己判断はせず、専門医の診察を受けるようにしましょう。顔面神経麻痺と間違えやすい代表的な病気をいくつかご紹介します。まず、最も注意が必要なのが、脳梗塞や脳出血、脳腫瘍といった脳の病気による「中枢性顔面神経麻痺」です。末梢性顔面神経麻痺(ベル麻痺やハント症候群など)では、麻痺側の額にしわを寄せることができなくなるのが特徴ですが、中枢性顔面神経麻痺では、額の動きは比較的保たれることが多いと言われています。また、中枢性の場合は、顔面神経麻痺以外に、手足の麻痺やしびれ、ろれつが回らない、めまい、意識障害といった他の神経症状を伴うことが多く、緊急の対応が必要です。次に、「多発性硬化症」や「ギラン・バレー症候群」といった神経系の自己免疫疾患や炎症性疾患も、顔面神経麻痺を引き起こすことがあります。これらの場合は、顔面神経麻痺以外にも、体の他の部位の神経症状(感覚障害、運動障害、視力障害など)が時間的・空間的に多発することが特徴です。また、「重症筋無力症」は、神経から筋肉への信号伝達がうまくいかなくなる自己免疫疾患で、眼瞼下垂(まぶたが下がる)や複視(物が二重に見える)といった目の症状とともに、顔面筋の脱力(表情が乏しくなる、食べ物が飲み込みにくいなど)が現れることがあります。症状が夕方になると悪化しやすいのも特徴です。その他、稀ではありますが、耳下腺腫瘍や聴神経腫瘍といった頭頸部の腫瘍が、顔面神経を圧迫したり浸潤したりすることで、顔面神経麻痺を引き起こすこともあります。また、ライム病やサルコイドーシスといった感染症や全身性疾患の一部として顔面神経麻痺が現れることもあります。これらの病気は、それぞれ専門的な検査や治療が必要となります。顔面神経麻痺の症状が現れたら、まずは耳鼻咽喉科や神経内科を受診し、原因を特定してもらうことが大切です。