閉塞性動脈硬化症が疑われる場合、医療機関ではどのような流れで診断が行われ、どのような検査が必要になるのでしょうか。そのプロセスを理解しておくと、安心して受診できるでしょう。まず、医療機関(主に循環器内科や血管外科など)を受診すると、医師による詳しい問診が行われます。いつから、どのような症状(足の冷え、しびれ、痛み、歩行時の足の痛みなど)があるのか、症状の程度や頻度、どのくらいの距離を歩くと症状が出るか(間歇性跛行の有無)、安静時に痛みがあるか、喫煙歴、糖尿病や高血圧、脂質異常症といった生活習慣病の既往歴、家族歴などを詳しく聞かれます。次に、身体診察が行われます。足の皮膚の色や温度、乾燥の状態、傷や潰瘍の有無などを観察します。また、足の脈拍(足背動脈や後脛骨動脈など)を触れて、その強弱や左右差を確認します。これらの問診と診察から、閉塞性動脈硬化症の可能性が高いと判断された場合、いくつかの検査が行われます。まず、比較的簡単に行えるスクリーニング検査として、ABI(Ankle Brachial Pressure Index:足関節上腕血圧比)検査があります。これは、両腕と両足首の血圧を同時に測定し、その比率を計算することで、足の血流が悪くなっていないかを評価する検査です。ABIの値が0.9以下の場合、閉塞性動脈硬化症が強く疑われます。さらに詳しく血管の状態を調べるためには、超音波(ドップラーエコー)検査が行われます。超音波を使って、血管の狭窄や閉塞の部位、血流の速さなどを直接観察することができます。より精密な情報が必要な場合には、CT血管造影(CTA)やMRI血管造影(MRA)といった画像検査が行われます。これらの検査では、造影剤を使用して血管を立体的に映し出し、狭窄や閉塞の場所や程度を詳細に評価することができます。最終的な診断や治療方針の決定のために、カテーテルを血管内に挿入して直接造影剤を注入し、レントゲン撮影を行う血管造影検査が行われることもあります。これらの検査結果と、問診や診察所見を総合的に判断し、医師は閉塞性動脈硬化症の診断を下し、重症度を評価して、適切な治療方針を決定します。