糖尿病による頻尿の症状に悩んでいる場合、その改善のためには、まず根本的な原因である糖尿病そのものの治療をしっかりと行うことが最も重要です。血糖コントロールを良好に保つことが、頻尿の改善、そして糖尿病の進行や他の合併症の予防に繋がります。糖尿病の治療の基本は、食事療法、運動療法、そして薬物療法の三本柱です。食事療法では、管理栄養士の指導のもと、個々の患者さんの状態に合わせた適切なエネルギー摂取量と栄養バランスを考えた食事を心がけます。特に、糖質の摂りすぎに注意し、食物繊維を多く含む野菜やきのこ、海藻類を積極的に摂取することが推奨されます。運動療法では、ウォーキングやジョギング、水泳などの有酸素運動を定期的に行うことで、インスリンの効きを良くし、血糖値の改善を目指します。筋力トレーニングも、筋肉量を増やし、基礎代謝を高めるのに役立ちます。薬物療法としては、血糖値を下げるための経口血糖降下薬や、インスリン注射などが、医師の判断によって用いられます。これらの治療を継続し、血糖値やHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー:過去1~2ヶ月の平均血糖値を反映する指標)を目標値にコントロールすることで、高血糖による多尿が改善され、頻尿の症状も軽減されることが期待できます。また、糖尿病性神経障害による膀胱機能の低下(糖尿病性膀胱症)が頻尿の原因となっている場合は、血糖コントロールと並行して、泌尿器科的な治療が行われることもあります。例えば、膀胱の収縮を助ける薬や、過活動膀胱の症状を抑える薬などが用いられたり、残尿が多い場合には自己導尿(自分でカテーテルを使って尿を排出する方法)の指導が行われたりすることもあります。さらに、膀胱訓練(排尿間隔を少しずつ延ばしていく訓練)や骨盤底筋体操といった行動療法も、頻尿の改善に有効な場合があります。糖尿病による頻尿の治療は、一朝一夕にはいかないこともありますが、主治医や専門医とよく相談しながら、根気強く取り組んでいくことが大切です。
糖尿病治療と頻尿改善への道筋