トイレの回数が最近増えた、夜中に何度もトイレに起きる…。このような頻尿の症状は、もしかしたら糖尿病のサインかもしれません。糖尿病は、血糖値が慢性的に高い状態が続く病気ですが、その初期症状の一つとして頻尿が現れることがあります。では、なぜ糖尿病になると頻尿が起こるのでしょうか。そのメカニズムを理解しておきましょう。健康な人の場合、腎臓は血液をろ過して尿を作る際に、必要なブドウ糖を再吸収し、尿中にはほとんど排出されません。しかし、糖尿病によって血糖値が非常に高い状態が続くと、腎臓がブドウ糖を再吸収しきれなくなり、尿の中にブドウ糖が漏れ出てきます(尿糖)。尿の中にブドウ糖が多く含まれると、浸透圧の関係で、尿の濃度を薄めようとして水分も一緒に尿として排出されやすくなります。その結果、尿の量が増え(多尿)、トイレに行く回数も増える、つまり頻尿となるのです。特に、血糖コントロールが非常に悪い場合や、糖尿病が未治療の場合には、この多尿・頻尿の症状が顕著に現れることがあります。また、糖尿病が進行すると、神経障害(糖尿病性神経障害)という合併症が起こることがあります。この神経障害が膀胱の神経にも影響を及ぼすと、膀胱の知覚が鈍くなったり、尿を溜めたり排出したりする機能がうまく働かなくなったりして、頻尿や残尿感、尿意切迫感(急に我慢できないほどの尿意が起こる)、尿失禁といった排尿トラブルを引き起こすことがあります。これを「糖尿病性膀胱症」と呼ぶこともあります。さらに、高血糖状態は免疫力を低下させ、膀胱炎などの尿路感染症にかかりやすくします。膀胱炎も頻尿の原因となるため、注意が必要です。このように、糖尿病による頻尿は、主に高血糖による多尿と、神経障害による膀胱機能の低下が原因で起こります。頻尿の症状に気づいたら、自己判断せずに医療機関を受診し、血糖値の検査などを受けることが大切です。
頻尿は糖尿病のサイン?そのメカニズムとは