病院監査に携わる担当者は、その業務遂行において、様々な法的側面を深く理解しておく必要があります。医療機関の運営は、医療法、医師法、保健師助産師看護師法といった医療関連法規だけでなく、個人情報保護法、労働基準法、さらには刑法や民法など、広範な法律によって規制されています。これらの法的枠組みを遵守しているかを評価することも、病院監査の重要な役割の一つであり、担当者には高度な法的知識が求められます。まず、医療法に基づく監査は、病院の開設、運営、管理に関する基本的なルールが守られているかを確認します。例えば、病床数、人員配置基準、医療設備の基準、医療安全管理体制の構築などがこれに当たります。都道府県による医療法に基づく立ち入り検査は、この監査の一例であり、病院は常に法令遵守の姿勢が求められます。診療報酬に関する監査も非常に重要です。これは、健康保険法やその他の関連法規に基づき、病院が適切な診療行為に対して適正な診療報酬を請求しているかを確認するものです。不適切な診療報酬請求は、不正請求として厳しく罰せられる可能性があります。カルテの記載内容と請求内容の一致、治療内容の適正性、レセプトの正確性などが重点的にチェックされます。個人情報保護法は、近年の監査で特に重要視される法律です。患者の医療情報は「要配慮個人情報」に該当し、特に厳格な取り扱いが求められます。監査では、患者情報の収集、利用、保管、提供、廃棄に至るまでのプロセスが個人情報保護法に則っているか、情報セキュリティ対策は十分か、職員への教育は徹底されているかなどが評価されます。情報漏洩が発生した場合の法的責任は重く、病院にとって大きなリスクとなります。労働基準法をはじめとする労働関連法規の遵守も、監査の対象となります。医師や看護師などの医療従事者の労働時間、賃金、休憩、休日、ハラスメント対策などが適切に行われているかを確認します。特に、医師の働き方改革が進む中で、過重労働の防止や適切な勤務管理が求められており、これらの状況が監査でチェックされます。