急に始まったかかとの痛み。「そのうち治るだろう」と放置してしまう方もいるかもしれません。しかし、原因によっては、放置することで症状が悪化したり、慢性化したり、あるいは日常生活に大きな支障をきたしたりする可能性があります。例えば、急なかかと痛の代表的な原因である足底筋膜炎の場合、初期の段階であれば安静やストレッチ、適切な靴選びなどで改善することもありますが、痛みを我慢して無理な運動を続けたり、適切なケアを怠ったりすると、炎症が長引き、慢性的な痛みに移行してしまうことがあります。そうなると、治療にも時間がかかり、治りにくくなる傾向があります。また、痛みをかばって不自然な歩き方をしていると、膝や股関節、腰など、他の部位にも負担がかかり、新たな痛みや不調を引き起こす原因となることもあります。稀ではありますが、かかとの痛みの原因が、疲労骨折やアキレス腱の断裂、あるいは神経の圧迫といったより深刻な状態である場合、放置すると症状が進行し、歩行が困難になったり、手術が必要になったりする可能性も否定できません。特に、痛みが非常に強い、腫れや熱感を伴う、安静にしていても痛む、しびれがあるといった場合は、自己判断せずに速やかに医療機関を受診することが重要です。また、かかとの痛みが、糖尿病による神経障害や、関節リウマチ、痛風といった全身性の疾患の症状の一つとして現れている可能性も考えられます。これらの場合、元の病気の治療が適切に行われないと、かかとの痛みだけでなく、全身の健康状態が悪化してしまう恐れがあります。このように、急なかかとの痛みを放置することには、様々なリスクが伴います。痛みが数日経っても改善しない場合や、日常生活に支障が出るほどの痛みがある場合は、安易に考えず、整形外科などの専門医に相談し、原因を特定してもらい、適切なアドバイスと治療を受けるようにしましょう。早期の対応が、症状の悪化を防ぎ、スムーズな回復への近道となります。
急なかかと痛放置するとどうなる?